• 【第34回】なぜ越境ECなのか

    ──────────────────────■着実に広がるアジアの越境EC──────────────────────

    このところ、越境ECネタが多いのですが、なぜこれにこだわるのかというと、今年あたりが日本における越境EC元年とも呼ぶべき年になりそうだからです。

    例えば、仲良くしている国際物流専門会社の社長は、10何年か前、国内のECが爆発したときの、その前兆ともいえる動きと、今の越境ECの動きは酷似していると言います。

    そんな感覚的なことだけでなく、実際の数値的にも、それは顕著です。前回の記事(中小ECは「成長」を目指すべきか)にも書きましたが、たとえば我々が主戦場にしているASEAN主要国の越境EC利用率は、ほぼ8割程度。日本は逆に、8割以上の人が未経験です。

    これは、日本ではほとんどの商品が国内で手に入るという背景も、もちろんあります。ただ、注目すべきは日本の利用率ではなく、アジアの利用率です。今ECが伸びているアジアの人たちにとって、外国からモノを買う時の抵抗感は、日本人のそれに比べて、格段に少ないということです。

    しかし、日本から発送する場合と、アジアの隣国から発送する場合とでは、当然輸送コストが違ってきます。よほど日本でしか売っていない商品か、送料を負担しても日本で買う方が安い商品か、いずれかに絞られるでしょう。

    そこで、当社はシンガポール拠点から発送する、ASEAN市場へのECを行っているわけですが、いずれにしても、自社の商品がしっかり収益につながるくらい現地で売れるのかどうかは、未知数です(最初から分かるはずないのですが。。。)。

    ──────────────────────■越境ECのためのマーケティングではなく、 マーケティングのための越境EC──────────────────────

    ただ、少し角度を変えると、越境ECの違った活用方法が見えてきます。それは、「海外販売のマーケティングのための越境EC」というアプローチです。

    先日、ある貿易業約40年の専門家の方が「今のアジアで、ネットで売れている商品は、すぐにバイヤーからの打診がある」と言っていました。

    まさにそうなのです。バイヤーは、売れるかどうかわからない商品にはあまり興味を示しませんが、「売れている」商品には、飛びついてきます。決まって「独占させてくれ」と言ってきます(笑)。実は、これこそが我々がテストマーケティングにこだわる理由なのですが、ECでそれができると、日本にいながらでもテストができるのが、とても大きなメリットです。

    つまり、ゴールを「現地EC(越境ではなく現地で行うEC)」あるいは「BtoB取引」に設定して、そのためのマーケティングに越境ECを活用するという方法です。物流コスト等を考えると、この考え方の方がはるかに現実的で、越境ECの存在意義も格段に高まります。

    日本からの越境ECは、これから激増するでしょう。現状は、その大半がアマゾンなどへの個人出店です。昔流行った(今も?)本の「せどり」のような形で、カメラや時計、中古スマホなどを個人的に海外に販売する人が多く、その方法だと企業としてはとても取り組めません。しかし、そこでの販売が伸びているということは、価格次第、商品次第で、日本から買う人がそれだけいるということです。つまり、巨大市場がすでに目の前にあります。

    国内ECもそうでしたが、そのような個人の市場から、急速に企業へと広がっていきます。その時に、越境ECの戦略的な立ち位置を決めておかないと、「なんだ、売れないじゃん」で大半の人が店を閉じる結果になってしまいます。日本にしかない商品で、模倣が難しく、海外での人気が高い。そんな理想的な商品であれば、越境ECのみで勝負することもできるでしょう。しかし、なかなかそれは難しい。であれば、何のために越境ECを行うのかを、まず明確にしてください。

    繰り返しますが、巨大市場はすでに目の前にあります。目線を少し横にずらすと、それが見えてきます。日本のEC市場は、これからも伸びますが、それは以前の記事にも書いたように、「サービスEC」の存在が大きい。

    自社の商品が、今後どの程度の伸びしろがあるか、日本の市場が今後どのような構成になっていくかを考えると、ほとんどの場合、アジアを内需化する必要に迫られます。