古い日本映画を観ている~『女性の勝利』(1946年、松竹) Kenji Mizoguchi, Victory of women,
Kenji Mizoguchi, Victory of women, Josei no shôri Kenji Mizoguchi, 1946
『女性の勝利』(1946年、松竹) – 細川ひろ子 溝口健二監督作品
映画.com から引用
敗戦後 すぐの作品で司法改革の波紋による人間関係の変化が大きなテーマ
徳大寺伸は思想犯役で投獄された自由主義者 敗戦で解放されたが
投獄生活で健康を害している 田中絹代のかつての恋人
彼を投獄したのが 絹代の姉の夫 松本克平が演じていたと気付かなかった
その妻役が桑野通子 意外な役という気がした 絹代の姉役になるし
これまで観た彼女の役柄からすれば 違和感を感じるところだが
それはほとんど感じなかった ということは演じ切っていたということか
絹代が弁護士になれたのは 姉の援助 つまりは夫の検事のおかげ
その検事が司法改革のやり玉にあがっている
絹代の弁護士役 そして見せ場の最期の弁論 見ごたえがあった
私的には胸がスカッとしたというところ
弁護する女性は絹代の女学校仲間 夫に先立たれ生活の困窮から精神錯乱
子どもを過て殺してしまう
その裁判で検事は司法改革の嵐の中で自己保身のため 絹代に今回の裁判で
手加減してほしいと要請 妻・・・絹代の姉もそれを願う
その板挟みになって悩む絹代だが 自分の信条を貫く決心をする
そして裁判での弁護人弁論となる
司法改革の背景とか社会的状況が 絹代周辺の矛盾問題になっているのが
少し物足りない気がしたが 絹代の弁論の中で女性乗っかれた状況
封建的しがらみによる奴隷的条項が語られる
そして検事が かつて自由主義者を投獄した過去の問題責任も追及する
東京裁判で裁かれたのはごく一部 支配機構も官僚機構も
深い自己反省することなく継続されていた
その結果が今日の政治状況にもなっている
敗戦後まもなくの制作公開ということに大きな意義があると思う
田中絹代の熱演 桑野通子のイメージを変える役柄
女性の自立こそ幸せという絹代のセリフに希望