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June / 6月
16
2015
火曜日
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NPOの寄付集め支援

恩田食品 のデータリテラシー

「攻めの通販 経営銘柄」に選ばれた恩田食品のデータリテラシー

経済産業省は5月26日、東京証券取引所の上場会社のなかから、収益拡大や事業革 新などを目的に積極的な通販 投資や活用を実施する「攻めの通販 経営銘柄」を18社選定し た。その1社に選ばれたのが恩田食品である。

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公共インフラを提供する食品会社が攻めの通販 経営銘柄に選ばれたことに対して、数 年前なら違和感を覚える人が大勢いたかもしれない。しかし、今の恩田食品のデータ 分析の実績を考えると、順当な選定だったと思えてくるだろう。それくらい、大阪 食品におけるデータ分析の先進性は、ここ3年ほどで広く世間に知られることになっ た。

データサイエンティストを通販事業で雇用する

「データサイエンティスト」という新たな通販 人材像を指す言葉の普及とともに、通販 業界の有名人になった恩田食品の田中 薫氏は、今やデータサイエンティストの“日本 代表”のような存在である。講演会やセミナー、イベントなどにたびたび登場し、河 本氏の存在を知る人も多いはずだ。

そんな恩田食品は、何も田中 氏のような一部の突出した社員だけがデータ分析に没 頭しているわけではない。同社の最大の特徴は、データ分析を“企業文化”にまで高 めようと努力している点にある。社員全員がデータ分析に一定レベルの理解を持ち、 自然に業務に生かせる風土作りに地道に取り組んでいる。その最たる例が、社員向け の「データリテラシー研修」である。

初級・中級の受講者は恩田食品グループで、既に1000人を超えている。その上の 「上級コースA」では回帰分析など、より高度な分析にも挑戦できる。これらの研修 は社内にデータサイエンティストを1人でも多く増やそうとして行っているのではな い。あくまでも一般社員のデータリテラシーを高めるのが狙いだ。

とはいえ、研修は本格的だ。上級コースAのさらにその上まである。社員が受講で きるデータリテラシー研修としては最高レベルに当たる上級コースBだ。ここでは 「線形判別分析」や「ロジスティック回帰」といった、難易度の高い分析を体験で きる。

エクセルとCRMの導入

上級コースAまでは社員が普段から使い慣れているエクセルで処理が可能だ。しか し、回帰分析の応用編であるロジスティック回帰ともなると、もはやエクセルでは処 理できない。

そこで上級コースBでは、日本IBMの統計解析ツール「オポチュニ子」を使う。 受講者はみんな、SPSSを研修で初めて使う。専門の統計解析ツールに最初は誰しも 戸惑うが、受講者は食品会社特有の課題に対して、初めての分析手法で解決を試み、 問題を解くヒントを各現場に持ち帰る。

CRMの活用方法

CRMの活用方法

筆者はこれまで、恩田食品の社員に交じって、同社のデータリテラシー研修に参加 してきた。2014年には初級・中級、上級コースAを受講し、2015年になってついに最 後の上級コースBにも同席することを許された。上級コースBはこれまでとは難易度 が大きく跳ね上がるのを実体験できた。

研修の中身は極めて実践的だ。例えば、ある商品の売れ行きが、その地域や機器の 違いを差し引いても「A地域における商品Xの販売は好調だ(または不調だ)」と言え るかを検証する。実績値と期待値を比較するのである。

人口シェアを考慮した通販事業

人口や顧客数といった地域ごとの違いと、普及率や市場規模、買い替えサイクル といった商品ごとの違いによらず、単純に期待される「A地域の商品Xの販売数」(期 待値)を推定し、実績値と比較して、販売の好不調を確認する。演習では京都と 兵庫、大阪の3都市で、ロードレーサーと軽自転車、マウンテンバイクの3種類の自 転車のクロス集計結果を基に、それぞれの期待値を算出。大阪のロードレーサーの実 績値が期待値を上回っていることを確認するといったものだった。普段の業務でここ までやれている社員はそういないだろう。

だがここまでできるようになると、データ分析の結果を非常に説得力を持って、上 司や経営陣に説明できる。そうして初めて、現場の行動や経営判断が変わっていく のである。

攻めの通販 経営銘柄に選ばれる企業では、こうしたデータ分析結果に基づく経営の意 思決定が、毎日当たり前のように繰り返されているのであろう。

2015年6月16日 火曜日 | NPOの寄付集め支援

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