高周波電波利用
電波の利用は10数年前まではTV、ラジオ、アマチュア無線、CB無線、模型のラジオコントロールくらいまでが一般または有資格者が利用できるものでしたが、現在は3人に1人が携帯電話を持つ時代となり、大変身近なものになりました。さらにICタグやスマートカードなどもこの頃では盛んに使用されるようになり、今後はコードレスホンから始まった家庭内の無線化が情報機器に広がり、さらに家電製品まで広がりつつあります。
また自動車を取り巻く環境でもETCやGPSナビゲーション、ミリ波を利用した自動追尾装置などが搭載されています。この様な背景により電波利用は益々増えております。
この様な機器を評価するために必要な環境として電波暗室があります。製品から発生する電磁波の測定や、製品のアンテナから発信する電波を測定します。この時、測定室の中で不要な電波や電波の反射がありますと正確な測定はできません。そのために電波暗室は外来の不要な電波を遮断し、かつ製品から出る電波が部屋内で反射するのを抑えます。
この様な環境を設定することにより機器から発信する電波や漏れ電波を正確に測定できます
電波暗室
電波暗室と呼ばれるタイプには2種類あります。5面体はEMI測定用(エミッション測定)に壁と天井を電波が反射しないように電波吸収体を張ります。床は地面と同様に反射があることが規定されているため電波吸収体がありません。もうひとつの6面体はEMS試験用(イミュニティ試験)に全面に電波吸収体を貼り付けて電波的には無限に広い空間を作り出しています。通常、電波吸収体は周波数帯域ごとに素材を変えて、1GHzまではフェライトタイルを使用し、それ以上は誘電体を使用します。
広帯域電波吸収体(ピラミッド型)
誘電タイプ電波吸収体はAEP-4からAPE-36まで6種類があり、その材質はプリウレタン・フォーム製で柔軟性に富んでいます。電波暗室内での測定には壁面や天井面には不要電波が斜めに入射するので、電波吸収体は電波吸収特性(垂直入射特性)のほかに斜入射に対する特性も重要です。よって斜入射に対する優れた電波吸収特性が重要です。APE型電波吸収体は垂直入射波および斜入射波に優れた吸収性能を有しています。