日々

行きたいお葬式のこと

恋愛の類は正気ではできない、とインターネットの海の誰かが言っていた。もしかすると昔の人だったかもしれない。恋愛は正気じゃない、きっと狂気だ。周りが見えない、我に帰った時あまりの自分の思考回路の可笑しさに思わず笑ってしまいたくなってそのあと死にたくなる。

死にたくなるくらいなら恋愛なんてしなきゃいいのに。だからこの感情を恋愛と認めたくなくて、もうずっと他の何か別の感情に置き換えようと躍起になっている。いままで何度も恋愛かもと思って肯定した瞬間に自分に裏切られた。そんな自分を自分で馬鹿にして軽蔑したくなる癖に、自分を信じることをやめられない。愛しい自分。私なんかに愛されて可哀想に。憐れ。

あなたのことが好きだと思うわ。あなたと食べるご飯は美味しいし、あなたと眠るベットはあたたかい。けれどあなたが隣で寝息を立てるのを聴きながら、わたしはずっとあなたとの離別の日を思い描いている。いつか必ず来る別れの日、それが今日ではないことだけを願っている一方で、わたしはあなたとの別れの日を夢見ることをやめられない。

わたしのこと覚えたまんまで、わたしの知らない場所で幸せになってほしい。あなたの幸福なんてわたしは知りたくないから、わたしに便りなんて寄越さないでください。あなたの行く先にわたしがいないくらいなら早くわたしの前から消えて、そうしてどこかで勝手に生きて勝手に死んでください。でもお葬式には呼んでください。あなたが先に死んだらわたしはあなたの葬式に参列して、遺骨をそっと盗んでしまいたい。わたしが先に死んだらきっとお葬式に呼びますから、きっと似合うでしょう真っ黒な服に身を包んで、白いお花を棺桶に入れてください。それだけがわたしの願いです。


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