孤独が認知症のリスクを高める
アルツハイマー病のリスクになる可能性がある
人間は社会的存在というだけに、孤独は健康にも影響を及ぼすといいます。その影響は、認知症にも関係しているようです。
孤独は健康にも影響する
孤独が世界的に社会問題になっていて、関連した研究も増えています。
欧州心臓病学会では「孤独を感じる人は心臓病になるリスクが高い」という調査結果を発表しました。国民の7人に1人が、孤独に苛まれているというイギリスでは「孤独担当相」のポストを新設し、国を挙げて対策に乗り出したほどです。また、最近のアルツハイマー病の研究では、孤独が脳を萎縮させ、認知機能の低下を招くとされています。
男性は女性よりも孤独?
日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、社会的に孤立している人の割合が最も高いそうです。相談相手がいない率が高く、新たな友人を作る機会が他国よりも少ないといいます。内閣府の調査によると、日本の高齢者の4人に1人は親しい友人がおらず、これはアメリカやスウェーデンと比べても高い数字でした。また、様々なデータから、女性よりも男性の方が近所付き合い、友人関係共に苦手なようで、希薄な傾向が伺えます。
日本では、2040年には一人暮らしが4割に達する状況にあり、社会的孤立がますます拡大していく傾向にあります。しかも、85歳以上の4人に一人が認知症を発症する現実を考えると、孤独の回避が、認知症予防には欠かせないと言えそうです。
共感力を高めよう
人はひとりでは生きて行けず、社会を形成して進化してきました。その本能を活かせば、良好な人間関係を築くことができるのです。その鍵となるのは、脳の共感という働きです。
たとえば、人のあくびが写ったり、相手の涙につられたり。赤ちゃんをあやす母親を見て、自分の脳の中でもその母親と同じ部位が活性化されたり。以心伝心、あうんの呼吸なども共感の働きによるものです。
共感力を発揮するには、周りへの関心や理解などが必要で、それにより脳が刺激され、認知機能も高まります。つまり、共感力は社会とのつながりの中で鍛えられていくのです。
高齢になると、社会とのつながりが減る傾向があるので、家族や同僚との会話、近所付き合いを意識して増やし、共感力を鍛えてはいかがでしょう。さらに、新しい人との出会いがあれば、共感力はより高まります。